2008年12月24日水曜日

オリジナルツールを目指して。

最近、考えているのはオリジナルのツールを作ることです。

年末にかけて多くの方が我が研究室に来てくださいました。

その中には企業さんも沢山いらしたのですが、その方々が人間中心設計と関わる際に自社で製作したオリジナルのツールなども見せていただきました。

それらをみて思ったのが、一口に人間中心設計といっても、使う人それぞれにとってスタンスも目的も利用の仕方も異なっていて、それぞれのやり方に対して追及していった結果、オリジナルのサポートツールが作られているということです。

もちろん、それはカレーと一口にいっても、それぞれの家にそれぞれのカレーの味があるのといっしょです。おんなじカレールーを使っていても、味はぜんぜん違うものになってしまいます。
でも、その家で育った人にとって一番舌になじむ味というのはその家のものです。

それと同様に使いやすさというものを求めていくと、最終的にはオーダーメイドに勝るものっていったいどれだけあるのでしょうか。

それぞれの企業で、大学でUCDへの取り組み方というのは異なってきているのだから、それらをサポートするオリジナルツールというものが出てくるべきだと思いました。

それらの話を前提に、研究室の先輩方とお昼ご飯を食べているときに、話を振ってみたらうちの研究室にもいくつかやはり必要なツールというものがあるんじゃないかという話になりました。

UCDを学ぶ上で、研究室という単位で活用していくうえで、今のうちの研究室で問題となっていることをいくつか洗い出してみました。

すると大きく分けて、二つの問題点が上がりました。
それは以下のようなものです。

1. ペルソナを作っても活用しきれていない
2.UCDを一連の流れとして知っていても、応用ができない。

1のペルソナを作っても活用しきれていないというのは、ペルソナをコンセプトの抽出にしか使っていないということです。よくよく考えてみればペルソナを作成したところで、どのように活用しているかと考えてみたときに、コンセプトや五つの提供価値を導き出すためだけに使われている感がすごく強いことがわかりました。それってすごくもったいないことだし、提供価値などを導き出して以降はそれらのキーワードのみをみて作業してしまうのだったらそのキーワードに書かれた前後の文脈はどこにいったの?という話になっていってしまいます。
 また、そのようにしていった場合、ペルソナの存在を忘れて上司や担当の教員によってデザインの修正がおこなわれていった場合は、その上司や担当の教員の好みにあったデザインへと変わっていってしまうのではないかという恐れもあります。その上司や教員がペルソナと同一である場合を除いてそれはUCDであると言えるのでしょうか。

次に、2のUCDを一連の流れとしてしっていても応用ができないというものについてですが、こちらに関しても、ものすごく簡潔に行ってしまえば、プロセスや手順は理解しているけれど、何のためにそれをするのかよく理解していない。という状況であると思います。

言われたからやりましたという典型的な例であるといってもいいでしょう。

僕たちの研究室はUXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)研究室です。なので、ペルソナを作ることも多いのですが、教授がつくれっていったから作ってきた。なんて感じでいる人も多いのではないのでしょうか。またトヨタUDにおいて普段UCDと関わらないほかの分野の人たちと共同作業を行った時も、気をつけなければ作れって言われたから作りましたということになりかねないという気がしました。

ですので、UCDには6つの段階があり、それぞれの段階で具体的に何をして、どのようなことを調査すればよいのか、またその調査方法にはどんな種類のものがあり、それらの手法にはどのような長短があるのかといったことを理解できるようなツールが必要であると実感しました。

もちろん、上であげたようなことをきちんと理解している人もいるのですが、わかっていたとしても難しいというのが現状です。


これらの問題点をもとに、僕自身が使いたいがためにオリジナルツールを作成していくことにしました。一応冬休み中も作業はしていくつもりですが、春に行われる学外展示会の準備や卒研のブラッシュアップなどもあるので、完成は春休みくらいになるのかなと思っています。

春休み中にほぼ完成させ、一年間実際にプロジェクトなどで使用してみながら改良していくという流れにしたいと考え中。

ちょっと楽しみでもある。