そうです、あのパブロフの犬で有名なあの条件反射です。
有名な話ではありますが、パブロフの犬とは何ぞや?という人のために簡単に説明しますと、
- 犬に餌を与える前にベルなどで音を聞かせる。
- 犬は餌を食べる時に唾液を出す。
- 1と2を繰り返す。
- 今度は餌を与えずにベルを鳴らす。
- ベルの音を聞いただけで唾液を出す。
というものだったらしいです。
さて、この条件反射がどのようにデザインに関わってくるかというと、たとえば、UD的な話をするのであればヒューマン・エラーを防止するために人間の日常的な反射(条件反射も含め)を取り入れるなんていうことがあげられるかも知れません。
以前、このブログでも取り上げたように昨年はトヨタUD学生ワークショップに参加したのですが、その時に「(シニアカー)ブレーキは、人間が危機的状況に陥った時に身体が強張る(手を握り締める)ため、引っ張ることでブレーキがかかるようになっている」という事例を聞いたことがあります。
この場合は普通の反射ですが。
条件反射とはその名前に通りに、反射を起こすための条件付けが必要になってきます。
犬などに芸を教えるときは、大概この方法をとっているように思います。
自分も実家に犬を飼っているのですが、お手なんかを覚えさせるときは、
- 前足を差出た掌に無理やり乗せる
- 褒めて餌をあげる
- 1,2を繰り返す
- 犬の前に手を差し出す
- 犬は、手を乗せると褒められる、もしくは餌が貰えると思い手を乗せる
となっていたように思います。
こう考えると、普通に学習というものもこのようなルーチンを通しているのかも知れません。
小さい子供が、何をしたら褒められて、何をしたら怒られるのか。
そういったことを、自分の中で過去の事例から取捨選択をしてその中で自分のベストと思われる行動を選択するわけです。
つまり
- 選択を迫られる
- 状況を確認する
- 過去の自分の体験を照らし合わす
- 行動を起こす
こうして、1から4を繰り返し行うことで、行動の善し悪しを問うバックアップのデータが蓄積され、よりその行動は正確になっていく。
それがつまり精神的に成熟していくということなのではないでしょうか?
勿論人の記憶や感情にもそういった条件付けが可能であるとされています。
以前書いた、追憶型エクスペリエンスでも少し書いたのですが、人の思い出や記憶を関連付けた体験というのはこういった条件反射であったり、いわゆるエピソード記憶が関わってくるのだと思います。
早い話が、人の行動や体験に条件付けをし、その条件を満たしたときにエピソード記憶を引っ張り出すような何か(モノやサービスや体験)をデザインする。
このようにかくと随分と強引なもののように聞こえますが、たとえばその引き出されるエピソード(体験)からデザインしてあげればいいのではないでしょうか。
そのエピソードがより、ユーザーにとって心地よい、楽しいといったものであるようにデザインするのが大切なのかなと、ふと思いました。